常設展示

約2万年前頃から受け継がれてきた多くの歴史文化の中から、名取市の歴史文化の特徴や魅力を物語るものを中心に、写真・映像・解説などにより分かりやすく紹介します。
展示室は「考古の展示室」と「歴史・民俗の展示室」の2つの展示室があります。

【考古の展示室】

雷神山古墳をはじめとする、旧石器時代から平安時代頃にかけての発掘調査の出土品や資料を中心にご紹介しています。

展示エリアは、テーマ毎に大きく3つのゾーンに分かれています。

 

1)愛島・高館の森や海辺の丘と縄文のくらし

市西部の丘陵や「名取が丘」がある丘陵で展開された、市の歴史の原点とも言える旧石器時代や縄文時代の暮らしに焦点をあてたものです。自然との共生の中で、生活の舞台として選ばれたことを物語る文化財を展示しています。

●主な内容:野田山遺跡、泉遺跡、今熊野遺跡、前野田東遺跡、宇賀崎貝塚、金剛寺貝塚

 

2)雷神山古墳と花開いた古墳文化

古墳文化繁栄のシンボルであり、当時は東北の中心であったことを物語る「雷神山古墳」のほか、多数の古墳、他の地域との交流を伝える出土品に焦点をあてたものです。また、稲作をはじめとする大陸文化の伝来により、その繁栄の基礎がつくられた弥生時代の文化財も含め展示しています。

●主な内容十三塚遺跡、原遺跡、今熊野遺跡、雷神山古墳、飯野坂古墳群、下増田飯塚古墳群

 

3)名取郡の成立と実方中将

8世紀(700年代)の初め頃の「名取郡」成立により、歴史の舞台に「名取」が登場します。名取郡には当時の陸奥国府が置かれるなど、それ以前と同様に政治・文化の中心地でした。丘陵部には多賀城へと続く東山道が整備され、平安時代の著名な歌人「藤原実方」の旧跡をはじめ、様々な暮らしの痕跡が残されており、平野部でも大きな集落が営まれました。

●主な内容:清水遺跡、笠島廃寺跡、藤原実方の墓、道祖神社、前野田東遺跡、熊野堂横穴墓群

 

【歴史・民俗の展示室】

熊野三社をはじめとする、平安時代以降の歴史やくらしに関する資料をご紹介しています。

展示エリアは、テーマ毎に大きく3つのゾーンに分かれています。

 

4)熊野三社と名取の老女

平安後期に成立と伝わる熊野三社は、全国3,000か所以上ある熊野ゆかりの社寺の中で、紀州熊野三山と同じく、本宮・新宮・那智の3社を個別に祀り、位置関係なども似せるなど、全国的にも珍しい特徴を有し、多くの関連する文化財が伝えられています。その成立に深く関わる「名取老女」の伝承や旧跡にも焦点をあてた展示です。

●主な内容:熊野本宮社、熊野神(新宮社)、熊野那智神社、熊野新宮寺、大門山遺跡

 

5)増田宿と洞口家・旧中沢家住宅

仙台藩に属した江戸時代には、市中央の奥州街道沿いに増田宿の「まち」が、平野部には洞口家住宅などの水田・堀・いぐねに象徴される田園集落、西部の丘陵部や谷筋などには、鎮守・村堂・山林・池・墓地などで構成される、暮らしの原風景ともいうべき素朴な集落が営まれました。それぞれの環境に応じて展開した暮らしに焦点をあてた展示です。

●主な内容:館腰神社、洞口家住宅、衣笠の松、鶴見屋土蔵、旧中沢家住宅

 


6)貞山運河と閖上

名取川河口の港まち閖上は、仙台と外洋をつなぐ物資運搬や漁業・農業を生業とし、江戸時代には藩直轄の港として、「貞山運河」や名取川を通じた城下への材木・米の運搬などで賑わいました。明治には、増田・閖上の2つの「まち」を結ぶ新道が、大正末~昭和初期には、増東軌道が整備されました。この様な、海岸文化の拠点としての特色に焦点をあてた展示です。

●主な内容:貞山運河、増東軌道、閖上土手の松並、閖上大漁唄込み踊、日和山、津波碑